写真zine「無題 Ⅰ」とその後

こんにちは、ぽやん舎の写真を撮る方、野澤尚也です。

思い立ってまとめた写真zine第2弾「無題 I」をシャンティブックス様にて取扱いただきました。早速手に取っていただけたことが大変嬉しいです。

しかし実のところ、自分の中には戸惑いも残っていました。写真を売って、何を伝えたらいいのだろう? と。あるのだけど、どう伝えたらいいのだろうか、それをそのまま出してしまったところもあります。

自分の視界の片隅に残ったもの、の中から、なるべくステレオタイプでは交換できないイメージを1冊に残したい。「自分の体験に根ざした」もので集合的なイメージから少しずれていて、撮影者の生活や価値観が主題としてじわりと浮き上がってくる。社会に生きる「個人」という状態を暗示できるスナップショット写真です。この形態の写真は被写体を持ちながら、主題は撮影者自身、ともいえます。

おおざっぱにいうと、大森克己「サナヨラ」のイメージです。サナヨラ | 大森 克己 |本 | 通販 | Amazon これを、自分の言葉で作らなければならなかった、という後悔があります。わかっているけどできなかった。だから不完全なところがあるのに店頭に出して、申し訳ない気持ちがありました(最後まで納得いくものって、できないのかもしれませんが)。

学生の頃は、この写真の点と点をつなげる核心を見失うことはありませんでした。頭の中は作品作りでいっぱい。しかし仕事を中心とした今の生活では、自分のパーソナルな部分を伝えることが億劫になり、頭に上らなくなったのかなと思います。だけれど、やりたい気持ちが湧き上がったという不思議な状態でした。

「目の前で『小さな火が灯っている』と自分が受けとった景色を、残し続けている」それが今の僕の写真と思います。このことをもう少しわかりやすく、タイトル等に託して伝えたいです。

「無題」シリーズは今後も迷いとともに出る予感がありますが、次の作品はしっかりつけたいタイトルを思いついたので、またまとめてみたいと思います。

そして、きれいなプリントをしたいという欲。これがまだ燻っています。小部数冊子の印刷では到底実現できないとわかりました。

なので、写真zine第3弾発表と一緒に、綺麗にプリント・額装した写真で個展を開けたらいいなと、小さな夢を抱いています。